俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
「かぐや姫の物語」月からの使者がくるシーンの音楽がツボ
家に帰って、新作のストーリーづくりをしようと思っていたのですが、打ちのめされて創作の意欲がわかないです。
そう、何人かの知り合いの監督から「見た方がいいよ」という風な「ゼロ・グラビティ」的に勧められて、創作のヒントになるかしら、と思って鑑賞したのですけど、逆効果ですわ。

予告を見た時に「木を植えた男」みたいなアートアニメを想起してしまい、スルーしようと思っていたのですが、あの絵柄でちゃんとエンターテイメントになっているのがまずはすごい。半端ない演出力。
でも、みなさまが口々に言う映像がすごいというのには、反対で、期待しているのは一方で「木を植えた男」だったりもして、ワンカットでぐるぐる状況が変わっていくようなものは見れなかったとも言えます。

最も好きなのが、月からの使者がくる時のチャンチャカいう音楽。あのふざけ具合は最高です。普通はすごい荘厳な「ブッタ降臨」みたいな音楽を想像しますからね。月の文明が、姫奪還くらいめちゃ余裕な感じで溢れてます。

そこからひもとくと、これはなかなか反権力志向を持つパンチのある映画だと思ったのです。
だって、ひとりの美少女が時の権力者たちを翻弄しているわけですよ。帝なんて、わざわざ訪ねにきちゃうくらい。
で、創作的にすごいのが、幼なじみの捨丸と再会した時に捨丸には奥さんがいる。この映画の唯一のヒーロー存在さえもそんな背景を持たせて「逃げよう」とか言わせちゃう。つまり権力者同様にグレーな世俗として描いているわけです。

月の完全な世界から世俗的なものに憧れて、その罪(原罪)を背負って下りてきたという設定。しかし、欲にまみれた世俗的な世界で一瞬、月の世界に助けを求める、つまりは人間らしさがなくても、純粋なものを求めちゃう。で月に帰らざるおえなくなる。
こう考えると、純粋を求めても、人間らしさはなくなるし、生き生きと生きたくても、世俗の欲望の中に身を置かなくてはならない。という矛盾を描いているというわけですね。

あと、Vシネ監督的にいうと、少女ヌード的描写も。やるなぁ、戦うなぁ。
 
【2014.01.18 Saturday 01:12】 author : koshiy2010 | 日本映画2014 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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