俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
「蟻が空を飛ぶ日」個人的鑑賞のしおりとして書いてみよう
最近の日本映画だと「脳男」が抜群に面白かった。ああいうダークヒーローがあんまりいないので。ただ、今の時代に「脳男」というタイトルで観客を「見たい」にもっていくのは難しいかも知れない。江戸川乱歩や安部公房の時代じゃなし。笑

さて、「蟻が空を飛ぶ日」は、ダークヒーローではない。ヒーローにはなれないような「会社」という殺人集団に所属する若い男を中心に話が転がっていく。
実は拙作「ミッシング」シリーズをご覧いただいている方は、たぶん僕がこの作品が大好きなのがかなり理解できると思う。
社会の極端な縮図を「学校」という枠の中でやっているのが「ミッシング」シリーズで、それは「学校に原発ができる日」も同じ構造なのだが、こちらは「会社」がその縮図。
僕らは「会社」に入った頃、「仕事なんだから」という理由で、やんわりプライベートを犠牲にする習慣を身につけるが、その仕事が「殺人」というか「暗殺」というのが、この映画のキモになる。
しかし、そんな仕事をしていても、夢は見る。その若い男は、過去の問題があって、その会社に雇われているので、ある意味本人が悪いわけだが、それでも見たくなるのが人間なわけだ。その中でプライベートな気持ちを押し殺して仕事を続けるのか、戦ったり、逃げたりするのか、というのが悩むべくテーマとなってくる。
さらにそれをわかりやすくするために「蟻」というキーワードまで取り入れている。
公式サイトのコメントにも書かせていただいたが、蟻は社会性昆虫と呼ばれていて、集団の中に階層がある。平等といわれる現代でさえ、僕らは生まれた時にすでにその階層にいくぶんか取り込まれているのだけど、さらに社会に出て行って、その階層は固定化されていく。残念ながら、子どもの頃に宇宙飛行士になりたくて「宇宙兄弟」になれる人はあまりいない。
そこにはルールがあり、僕たちはその階層に応じた役割を果たしていくだけ。それが人生で、ヒーローなどはもちろん存在しない。蟻とあんまり変わりはないというわけだ。
こんな風に考えていくと、「レ・ミゼラブル」くらいで泣いている場合ではない。「レ・ミゼラブル」はあの時代の絶望と夢の話だが、こちらは、どの時代にもある人間社会のシステムの絶望と夢の話なのだ。
極端な設定ではあるが、そんなところを頭の片隅においてご覧いただきたい。
 
【2013.03.08 Friday 16:26】 author : koshiy2010 | 日本映画2013 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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