俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
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「ヒッチコック」vs「リンカーン」いい映画なのに、引っかかる何か
両作とも満足度は高い映画でした。

「ヒッチコック」は、あの頃のアメリカ映画の状況の中で戦うヒッチコックが絵として見れるだけでも興味深い。「サイコ」はそうか、1960年か。アメリカも含めて映画でヌードが解禁になっていくのは60年代後半だから厳しい頃ですね。浮気話なんかのグレーな所に触れているのも好感度高し。一見ヒッチのライトユーザー向けだが、ミュージカル映画嫌いのヒッチに、「ミュージカルでもつくるの?」みたいなセリフがあったり、伝えきれないニュアンスを残す努力があって感心してしまう。

一方「リンカーン」は、奴隷解放の戦い。「ヒッチコック」はかみさんが、よき協力者だが、こちらは病み気味で、むしろシナリオ用語でいう「障壁」の存在。こちらも、約束守らなかったり、買収に近い役職を与えたりと、グレーな部分があってよかった。意外に地味な政治映画なので、スピルバーグの中では「シンドラー」に近い路線なのかも知れない。

2作とも、本当に奇跡的に面白い作品なんだけど、ずっと何かが引っかかっていた。

「ヒッチコック」で夫婦でともに、あるいはもうひとりのヒッチコックというのが、作り手側の本当に描きたいテーマなのか、興行的にあたりがいい観点のような気がしてならない。特にアメリカ映画界は家族愛ブームらしいし。
また「リンカーン」も、現代のオバマ時代へ通じる社会性を持ってはいるけど、スティーブンスと違って、リンカーンが奴隷解放に動きたくなるエンジンが描かれていないのが、いいものなのか。

となると、両作ともシナリオ上の起承転結の「起」の部分、セットアップなどともいうが、ここのつくりかたが間違っている気がする。
「ヒッチコック」は浮気あるいは女好きなエピソードが頭の方に欲しいし、「リンカーン」は奴隷制の問題提議をあらためて最初に見せておくべきだと思う。さらに奴隷制維持論者の主張も聞いてみたい。そういう強さが欲しい。「そろそろ引退では?」はヒッチを発奮させるきっかけとしては弱いような。

私たちにとっては、現代日本に「ヒッチコック」や「リンカーン」にあたる、またはなりそうな人物がいるか、ということも考えなければならない。そうなると、もっと煽って欲しいなと個人的には思ってしまうのだ。
 
【2013.04.28 Sunday 13:15】 author : koshiy2010 | 外国映画2013 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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