俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
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「テルマエ・ロマエ」業界を牽引するヒット作は必要
「テルマエ・ロマエ」の意外な大ヒットは、正直うれしい。内容も変わっていて面白い。

無粋にも「テルマエ・エイリアン」なるパロディをつくっている立場として、なんだか引っかかる所があって、今回ちょっと見直してみました。

すると、企画としては振り切っているのに、シナリオや演出は意外にこじんまりとしているんですよ。

・シナリオ上の好み
原作+オリジナルということで、よく練られていると思いますが、こういう作品の常套としては、ローマと日本がお互いにGIVE&TAKEするのがいいはず。
阿部ルシウスは日本から「お風呂の技術」を、上戸山越真美はルシウスから「仕事に対する誇り」のようなものを受け取り、真美はまた漫画家を目指す。…ということで、一見は「プリティ・ウーマン」のように富豪と娼婦がその壁を乗り越えてお互いに影響を受け合い、恋も芽生える、のような展開になっているんです。
しかしながら、真美の方は周囲の人の「赤い糸」って言葉で恋心に火がつく形。これが失敗してないかしら。あくまで仕事上のバディとして進めて、いつの間にか恋してたって方がいいと思いませんか? 
ローマに行って数日?でルシウスとしたくない仕事で揉める時、「したくない仕事だってしなきゃいけない」と今の日本人の心情を語る真美に、ルシウスが「誇りを持っているから、したくない」というような旨を語るのが突然すぎるように見えちゃう。
「誇りったって、日本の再現してるだけじゃん」って突っ込みたくなります。
その前に、ルシウスがローマ時代において、日本に帰れない真美を支える、あるいは北村ケイオニウスのセクハラに対し何かアクションがあれば、お互いが必要な存在になって、上記のセリフがもっと生きるはずなんですよ。

ま、そんなことより、とにかく真美のルシウスを追いかける強い動機が欲しいってことをいいたいだけなんです。ルシウスドキュメント漫画を描くでもいいと思うんです。赤い糸ではないと思うんです。

・演出上の問題
これは結果論ですが、登場人物のキャラだちがいい割には、登場感のない出方をする。
市村ハドリアヌス皇帝が、最初にセリフをしゃべるシーンで俯瞰の引き画はないだろうと思っちゃいます。いかにも皇帝という、威厳のある出方をして欲しいです。
真美も、微妙に胸チラはいいんですが、ルシウス見つけて、はじめて鉛筆を握るより、最初に眠っているなら、漫画原稿にヨダレ垂らして眠っている方が、説明的に見えないと思います。

とはいったものの、これは好きだから細かく言いたくなっちゃう系の感想ですね。
濃そうに見えて塩分控えめの演出がヒットを押し上げている可能性もありますし。
ともあれ、こういう挑戦的な企画がヒット事例をつくってくれることは本当に必要なんです。
 

【2012.07.17 Tuesday 22:53】 author : koshiy2010 | 日本映画2012 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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