俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
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「TIME/タイム」これが不満なら何をつくればいい
傑作だと思います。娯楽作というのは、往々にして作品テーマや主張とのバランスをとるのが難しいのですが、これは見事。そして、主役たちのエンディングは、60・70年代の映画たちを彷彿とさせるようなイメージで、私たち民衆の気持ちをぶつける映画になっていました。

時間=お金のメタファーは誰にでもわかることですし、そういう時代の世界観の構築もすごいのですが、注目したいのは、脇に出てくる、ほんのわずかな端役の存在感。福祉事務所の青年とか、そこにいる少女の人生までもが想像したくなるんです。
そして、主人公が10年をあげた友人の死が、酒の飲み過ぎという意外性。それまで、ここでは1週間の時間を持っているだけでも殺されるみたいに、伏線かけまくっていていたのに、時間を持ちすぎて自業自得っていう人間の弱さによる不幸が描かれていたりします。
そして、走る=時間がない貧民というキーワード。主人公についていく元富裕層の娘セイフライドは、後半走りまくりますが、これが必死で生きている熱さを私たちに伝えてくれています。
前半、時間も、お金同様に市場により、上がったり下がったりするのもミソ。こうみると、私たちの不幸も、一部の富裕層がお金を牛耳っているからじゃないかしらん、と経済など勉強しなくても気づかせてくれる映画。

311以来、日本ではみんなが少しずつ助け合おうよモードになっていて、それは素敵なことなんですが、「カイジ2」や「ライアーゲーム 再生」まで、そんな流れになるのが、映画として幸せなことなのかしら、と思います。お金は、人類史上最もすごい発明のひとつであり、使い方で幸福にも不幸にもなる。そのテーマにはみんな行き着けるんですが、それで人は幸福感を感じられるのか、映画としてはカタルシスを得られるのか。
日本でも、本作のように富裕層がお金を貯め込んでいいて、自分たちのお金を守るために市場があり、上がったり下がったりします。私たちはその波に飲まれないよう、必死で船をこいでいるんです。そこを突く映画ができてこないのが、私たちの不幸のようです。

【2012.03.10 Saturday 22:13】 author : koshiy2010 | 外国映画2012 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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